2026年8月6日
蛇口の水は、屋上を通ってきているかもしれません|貯水槽清掃という仕事
こんにちは、ソウアの工事事情へようこそ。
マンションやビルで蛇口をひねったとき、その水がどこを通ってきたか考えたことはありますか?
多くの方は「水道管から直接出てきている」と思われているのではないでしょうか。実は建物によってはそうではありません。一度、建物の中にあるタンクに溜められた水を飲んでいます。
今回は、そのタンクの話です。
水は、いったん建物の中に溜められている

一般的な戸建て住宅であれば、水道管の圧力でそのまま各蛇口まで水が届きます。
ところが3階建て、5階建てとなると、水道管の圧力だけでは上の階まで水が届きません。そこで多くの建物では、こういう流れになっています。
道路の水道管
↓
受水槽(地上または地下のタンク)
↓
ポンプで汲み上げ
↓
高架水槽(屋上のタンク)
↓
各階へ落として給水
屋上に一度上げてしまえば、あとは重力で下の階まで水が落ちていきます。この方式が長く使われてきました。つまり、お住まいの建物によっては、蛇口から出る水は屋上のタンクを経由しているということです。
そのタンク、掃除しないとどうなるか
タンクは密閉されていますが、完全に外界と切り離されているわけではありません。
長く清掃されていない貯水槽では、こういうことが起こります。
・タンク内部に汚れやサビが堆積する
・赤水(サビの混じった水)が出る
・水に臭いがつく
・水が変色する
・虫や小動物が侵入・混入する
「最近、水が少し赤い気がする」「なんとなく臭う」という状態は、蛇口や配管ではなくタンク側が原因であることが少なくありません。
そしてこれは、飲み水の話です。
法律で、年1回の清掃が義務づけられています

ここが今回いちばんお伝えしたいところです。
貯水槽の清掃は、建物の管理者の「心がけ」ではありません。法律上の義務です。受水槽の有効容量が10立方メートルを超える建物は、水道法で「簡易専用水道」に分類されます。分譲マンションやオフィスビルの多くがこれにあたります。
この場合、
・1年以内ごとに1回、水槽を清掃すること
・1年以内ごとに1回、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関の検査を受けること
この2つが義務となります(水道法第34条の2ほか)。
また建築物衛生法の対象となる特定建築物についても、施行規則で貯水槽の清掃を1年以内ごとに1回行うことが定められています。
では10立方メートル以下なら不要かというと、そうではありません。
10立方メートル以下の建物は「小規模貯水槽水道」として、各自治体の条例や要綱で管理が求められています。義務の根拠は自治体によって異なりますが、多くの自治体が簡易専用水道と同様に年1回以上の清掃を指導しています。
規模にかかわらず、年1回は清掃するもの。そうお考えいただくのが実態に合っています。
罰則もあります
清掃や検査を怠った場合、水道法では罰則が定められています。
条文上は、懲役または100万円以下の罰金となる規定があります。
もっとも、実際にはいきなり罰則が科されるわけではなく、保健所からの指導が入るのが通常です。ただ「指導が入る」という時点で、管理会社様やオーナー様にとっては望ましい状況ではないはずです。
入居者様から「水が変色している」と指摘を受けてから動くのと、年1回きちんと回しておくのとでは、負担がまったく違います。
実際の作業は、こんな流れです
弊社で実施している貯水槽清掃は、おおむね次のように進みます。
① 断水のご案内
清掃中は水が使えなくなりますので、事前に管理会社様を通じて掲示・告知をしていただきます。実際の断水は2時間程度で終わることが多く、その時間帯を建物の使用状況に合わせて調整します。
② 水を抜く
タンク内の水を排水します。
③ 内部の清掃
タンクの内壁、底面に付着した汚れ・スラッジ(沈殿物)を除去します。ここが作業の中心です。
④ 消毒
洗浄後、塩素系薬剤で消毒を行います。
⑤ すすぎ・注水
薬剤を洗い流し、水を張り直します。
⑥ 水質検査
給水を再開したあと、水質検査を実施します。11項目の検査を行い、飲用に適した水質であることを確認します。
⑦ 報告書の提出
作業内容と検査結果をまとめてご提出します。
断水時間は2時間ほどですが、建物の規模や状態によって前後します。事前に現地を確認したうえで、ご案内いたします。
清掃と同時に、不具合が見つかることがあります
タンクを空にして中に入るのは、年に1回のこの機会だけです。
そのため清掃時には、普段は見えない部分の状態も確認できます。
・タンク内部の防水層の劣化
・マンホール、通気口の破損
・オーバーフロー管の防虫網の破れ
・揚水ポンプ周りの配管や継手の傷み
・水位を制御する部品の不具合
先日お伺いした現場でも、清掃のご依頼をいただいた際に、揚水ポンプまわりの継手が破損して漏水している状態が見つかりました。そのまま放置すれば水が漏れ続けますので、清掃とあわせて改修することになりました。
このように清掃のタイミングは点検のタイミングでもあります。別々に手配すると、そのたびに断水と立ち合いが発生します。一度で済ませられるのは、管理する側にとってのメリットだと考えています。
管理会社様・オーナー様へ
貯水槽の清掃は、毎年必ず発生する業務です。だからこそ、
・断水時間をできるだけ短くしたい
・入居者様への告知をスムーズに進めたい
・清掃と一緒に不具合も見ておきたい
・報告書まで含めて任せたい
こうしたご要望が出てくるのだと思います。
弊社では清掃だけでなく、水質検査、報告書の作成、あわせて見つかった不具合の改修までご対応しております。消防設備点検を行う協力会社とも連携しておりますので、設備まわりをまとめてご相談いただくことも可能です。
「最後にいつ清掃したか分からない…」
そんな状態でしたら、一度ご確認いただければと思います。
ご相談はお気軽にソウアまで!
